絶望希望ワールド

長期出張に行く間ギター弾けないのでメンテナンスに出しました。どうせ長い間ギター触れないんなら、いっそのこと。
弦高も下げてもらうことにした。かなり高かったのでコード押さえにくいコトこの上なかったのですが、これを機に下げます。今までずっとこの弦高で練習してたから、下げたらさぞかし押さえやすくなるだろうと期待しつつ。楽器屋のニーチャンも「これはかなり高いですね〜、押さえにくかったでしょう」とか言ってた。ま、アレだ。大リーグボール養成ギブスみたいなもんだ。亀仙人の甲羅とか。
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『CHILDREN OF MEN』 (邦題:トゥモロー・ワールド
西暦2027年、人類に子どもが誕生しなくなり世界は絶望と荒廃の中にあった。英国エネルギー省官僚で働くセオは、ある武装集団に拉致される。そのリーダーは元妻のジュリアンだった。彼女は1万ポンドと引き換えに検問を通過できる通行証がほしいと言う。彼女の目的は、ひとりの移民の少女を新しい社会を作る活動をしている「ヒューマン・プロジェクト」に届けること。しかし、その少女は人類にとって重大な秘密を抱えていた。Alfonso Cuaron監督の描き出す徹底された混沌の終末世界を映像化。
以下ネタバレあり。世界観としては12 MONKEYSに近いケドそれ以上。これほどまでに絶望的な世界観を実現化してみせた映画は稀だ。作品全体に覆い被さるのは寂寥感、そして徹底して暗く悲惨で絶望的なトーン。細部まで作り込まれたこの"終末世界"をよりリアルに感じさせるのは随所で多用される長回しのカット。映画の映像表現という枠ではとても考えられないようなシーンも徹底的に長回し。おそらく撮影自体はワンカットではなく編集で繋げているのだろうけど、とにかく長回しの間は息が止まりそうなほどの緊張感。あまりにも見事な演出。 どんよりとしたストーリー展開も非常に好みでした。「伏線が全く無い」だの「状況説明が少ない」だの「なぜ人類が妊娠しなくなったのか説明が無い」だの、批評家ぶりたい人達のブログにはそんなツッコミがよく書かれてましたが、そーゆーことはハッキリ言ってどーでもイイのだ。何の説明もないままこの世界観に放り込まれるからこそ、よりリアルにこの絶望的な終末世界にのめり込めるのだ。だってオレらが現実に生きてる世界だって、何か問題が起きるときはあらかじめ説明も伏線も無いんだもの。"世界"ってのは、そんなもんだ。 ヒリヒリして息苦しくなるような絶望感の中に突如として射し込まれる一筋の希望の光。産まれたばかりの赤ん坊を抱いて荒廃したビルの階段をゆっくりゆっくり降りる母親。道を塞ぐ暴徒と化した不法入国者武装集団。互いに血まみれになり殺し合いをしていた彼らが、その赤ん坊のために無言で道を開ける。爆音と粉塵に舞い散る中、負傷し血を流しながら天を仰ぎ祈りを捧げる者、泣きながらただ赤ん坊に手を伸ばす者。こんなにも絶望と希望が同時に、そして極限まで表現されるシーンを今まで観た事ナイ。素晴らしすぎて涙でた。
それにしてもMichael Caineはやっぱりイイ役者だ。名バイプレイヤー。Robert De Niroは役者としてのカメレオンっぷりをアピールしすぎでウザいけど、彼は違う。本物のカメレオン。それなのに彼でしか醸し出せない存在感もタップリ。指、ひっぱってみな!
関係ないケド、こーゆー感じで原題と邦題が違う映画の場合、往々にして邦題にはマヌケなものが付けられてるケースが多いワケだけど、この映画の場合は邦題のほうがヨイ。原題はあまりにも直接的すぎてストーリーが予測できてしまう。