健全な人が撮る異常さ

『HOSTEL』
刺激を求めバックパッカーをしながらヨーロッパを旅する若い3人の男たちは各地の快楽街に入り浸る旅を続けていた。そんなとき、東欧の田舎町にある"ホステル"には、男達が求める快楽がすべて手に入るという噂を耳にする。期待を胸に3人はその噂の"ホステル"へ向かい、夢のような快楽に溺れる日々を過ごすが、その裏には驚愕の事実と想像を絶する拷問と殺人の恐怖が待ち受けているスプラッターサスペンス(?)映画。
上映中に気分が悪くなり病院に行く人が続出しただの18禁だの、様々ないわく付きの映画だったので恐る恐る観た訳ですが、正直アレッ?って感じの出来でした。結局Quentin Tarantinoは毎回自分の映画で突飛なコトをやってるけど基本は健全なニンゲンなんだなぁと再確認した。つまり「健全な人が撮った異常な映画」。どんなに痛々しく常軌を逸した描写をしても根底にあるQuentin Tarantinoの健全な子どもっぽさが見え隠れしている。衝撃度としては「異常な人が撮った健全な映画」には勝てないネ。(たとえばDavid Keith Lynch。あの人はどんなに健全な映画を撮っても異常さが消えることがない。) 途中でカメオ出演してた三池崇史内田裕也に見えて仕方なかった。シェゲナベイベー。

 
グエムル〜漢江の怪物』
ソウルの中心を南北に分けて流れる漢江(ハンガン)に、突然正体不明の巨大怪物<グエムル>が出現し次々と人が襲われていく。パク一家は娘をグエムルにさらわれ更にグエムル保有するウィルスに感染していると疑われ政府に隔離されてしまう。パク一家は娘を救い出しグエムルを倒そうと政府の施設から脱走し、携帯電話の着信歴を頼りにグエムルの巣を探し出す為に奔走するモンスターパニック映画。
超オモロかったです。13号事件に似てるとゆーコトにはとりあえず触れないコトにして。こーゆーパニックモノが名作となりうるポイントととして最も重要なのは、「途中からパニックの中心であるモンスターよりもその極限的状況で繰り広げられる人間模様に映画の視点が移行する」展開であると思われる。その代表格がGeorge Andrew Romeroの「ゾンビ」。意図的にやったのが宮坂武志の「大怪獣東京に現わる」。そーゆー意味でもこの「グエムル」はとてもバランスがよくとれたパニック映画だったと思われます。ソン・ガンホ蛭子能収にしか見えないが。それにしてもペ・ドゥナはイイ女優さんだなぁと思います。なんじゃあのオン・ザ・マユゲの前髪。リンダリンダリンダ観た時も思ったけど、彼女はヘタに美人要素だけで売ってる韓国女優とは確実に一線を画しとる。また、グエムル自体の撮り方もヨイ。ハリウッド映画のモンスターパニックモノでは、必ず夜の暗闇でモンスターを暴れされるけど、この映画では昼間にガンガン暴れる。そのため妙な日常感があり逆にリアル。