モラトリアムの子ども

『不安定による安定 と 安定による不安定』
昔からオレのことをホントよく知ってる友達に言われました。「シュウってミセコとかをイキイキやってた頃はその生活の不安定さに安定してたけど、今はその逆で安定した生活してるわりに不安定な精神状態だよね。ホントにやりたいこと、やれてないんじゃないの?」って。なんか見抜かれたなって思いでグウの音も出ませんでした。たしかにね。当たり。まさに今現在、色んな意味でモラトリアム級に悩んでる時期ではあります。
オレって、こう見えても自分がゲイだってことに思春期は心底悩んでた派なんですよ。ハタチでミセコデビューして以来、今でこそケンチャンという彼氏もできてブルさんやひろぱげくんの言う「ゲイは社会のアソビの部分」って言葉に大きく共感し、そのゲイ生活を謳歌してるように見えますが、振り返ればオレの青春時代は子孫を残せないことに対する劣等感とか、家庭を築けないことに対する孤独感とか、そーゆーネガティブな感情に埋もれてた日々を過ごしてたとつくづく思います。そんなネガティブ思考の増幅に伴って、普通に就職して会社入って上司から「キミ、結婚はまだかね」とかいう会話がいつ果てるともなく続くであろう生活の選択を出来なかった高校時代のオレは、友達が大学に進学していくのにならって一緒に進学しませんでした。てか、できませんでした。そうすることが怖かったからです。でも将来の安定した生活を目指して大学に進学していく友達をちょっと羨ましくも思いながら。その安定した生活は多分オレには一生手に入らないんだろうなと寂しくも思いながら。そのかわり自分の技一本で、技術一本で、テクニック一本で食って生活していける術はないものかと自分探しの不安定な生活をしていた20代に突入していくわけです。
でも、その不安定な生活は意外と自分にとって快適でした。特に長らく続いたミセコとしての生活は。自分の喋りと会話テクニックだけを信じて働く感覚は、普通に会社に就職してサラリーマン生活を送る友達を尻目に優越感を抱くほどでしたが、その生活自体日々の収入は安定せずひょっとしたら明日には職を失うかもって不安定な生活でした。でも、そんなまわりから見ると明らかに不安定としか映らないであろう生活は驚くほどにオレの精神を安定させてくれてました。自分を信じて働けていたから。オレの代わりはオレにしか勤まらないと信じてたから。
それが一転。今や月々の収入は少ないながらもある程度約束され保険にも入り組織の一員として働いている。生活は安定している。「結婚はしないの?」という同僚との会話も当たり障り無く躱すことができるようになっている。でも自分の内部はものすごく不安定なものになってきている。高校時代に漠然と感じてた恐怖にも似た感情が日々ココロのどこかで渦巻いてる。この組織でオレはオレとして働けてるのかな、オレの代わりは誰でもイイんじゃないのかな、自分の技一本で、技術一本で、テクニック一本で食ってるワケじゃないよな…って。
そんな悶々とした日々を過ごしてた最中にズバリ言い当てられたわけです。そりゃグウの音も出んくなるわな。おそるべし京山ちゃん。たしかにね。今の職場に就職して3年目。やっぱ振り返る時期だよね、3年目って。これって本当にオレの心からしたかった仕事なのかな?何かを壊さないと何も始まらないのかもな。不安定な安定に戻る為に、安定した不安定を打開しなきゃ。なくなって困るものって、なくさないと気付かない。意外と不安定を安定と感じれるのはゲイの特権なのかもしれない。一度しかない人生だ。 …何かうまく伝わんねーな。オレ自身、自分の中でこの想いを消化できてない証拠だね。なに言ってっか分かんないけど何か壁にぶつかってんだなって思ってくれればイイや。みっともないけどね。でも正直な日記を包み隠さず書くってのが信条なんで許してちょ。自分のために書き残してるようなもんだし。
ところで。以前から話には聞いてた京山ちゃんマブダチのナミねえさんは想像してた以上に美人でビックリした。