演技合戦のドロ試合

平成15年度文化庁芸術祭参加作品『共犯者』。15年前に会社の同僚であり親友である塔山紗江(中山忍)を殺害し、息をひそめて地味な暮らしを送っている冬川美咲(浅野温子)の前に、時効まであと2ヶ月というある日、謎の男(三上博史)が現れる。美咲の罪を知る男は「秘密を守る代わりに、君と一緒に暮らしたい」と言い出す。謎の男は冬川美咲の思いとは裏腹に次々と殺人を犯し、会社内部でも部下たちがお互いの秘密を握り探り合い暗躍する。どうして15年前に親友を殺さなければならなかったのか。執拗につきまとうなぞの男の正体は何なのか。15年後の時効まで逃げ切れる事ができるのか。
 
3年程前に日本テレビで放送された浅野温子三上博史の共演というオカマ的にアゲ度数極めて高めなミステリーのDVDですが休日を利用して一気に観ました。つまり結局はあの伝説的な2大テンション振り切れっぱなしドラマ『沙粧妙子-最期の事件-』と『あなただけ見えない』の夢の共演ってワケなんですが、さすがにお二方はもう完全にイっちゃってて果てしない演技合戦の彼方にドロ試合を繰り広げ続けてるドラマでした。相変わらず浅野温子タンは目が半開きでワナワナ震えつつ枝毛出来まくりの汚いロンゲ振り乱してババアのような濁声でそのうち「カ〜ジ〜ゥ〜ラ〜」とか言い出してしまうのではないかとハラハラしちゃいましたし、三上博史タンもウヒィ〜ウヒィ〜ウヒャヒャ〜アヒャヒャ〜と奇声の如き笑い声全開で喜々として吹越満の唇に噛み付いたりダイコン切ったりしてました。
次々と三上博史に殺されていく方々がみなさんオカマ的にちょっとアゲな感じなのでキャスティング部門に拍手を送りたいです。誰が殺されるかってのはネタバレになるんだろうから詳しくは書かないけど、山の中に埋められたり、病院で刺されたり、冷凍されてクール便で配達されたり。「沙粧妙子」で国生さゆりに反町を殺させたり、「あなただけ見えない」で新藤恵美がメイド姿のかとうれいこをムチでしばいたりって、こんな役をこの人でキャスティングするのか!やるな!と感心させられた時と同じ感覚でした。
意外にイイ味出してたのは刑事役の石橋蓮司と会社部下役の池内博之佐野史郎とかはお約束って感じでした。包丁持ってウシャー!って、こんな演技出来るの多分今の日本では佐野史郎くらいなもんか。さすが出雲の生まれは神が舞い降りるのね、演技中に。 佐野史郎浅野温子が夜中にブランコに乗ってるシーンは圧巻でしたよ。何往復も何往復も浅野温子のドアップが画面に近づいては離れまた急接近しては遠のき。これを1カットでやってるから演出家は大した度胸だ。このシーン全国で失神者続出、たぶん。
 
ストーリーは盛り上がりも上々だし全10話の中だるみもナイし90点くらいあげてもイイ感じです。 が、一番最期の大切な大オチが第1話でアッサリ予想出来てしまうあたり、もうちょっと演出に気を遣っても良かったのではないかと思うんだけどね。(てゆーか浅野温子三上博史って設定自体、このオチ予想を安易にしてしまう所以なのではあるけどネ) とは言いつつも展開のテンポがかなり良いので結構ドキドキしながら観れました。これまとめて観たから良かったけどリアルタイムで毎週毎週ちょっとずつ見せられてたら「あ〜はよ来週にならんかな〜」とプチストレスになってたかも。 あと消化しきれてない伏線が残ってるのも気になるところです。伏線張ったり意味深な描写を入れたならラストまでにキチンと解消していただきたいものです。視聴者は観てますよ、隅々まで。
 
こんな色んな意味で何か取り憑いてるか如きインパクト大でテンション高めなドラマなのに主題歌が川口大輔とスクープオンサンバディーってあたりがショボい。ドラマのインパクトに完全に負けちゃってて10話も観てたのにテーマソングはどっちもさっぱり覚えられませんでした。

共犯者 DVD-BOX

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