〜2006-03-20:転載版

2006.03.20.mon ミルク。

薔薇族で98年から5年間連載してた「ミルク」。連載リアルタイムではほとんどゲイ雑誌なんてORBで買ってきたついでにパラパラ見る程度で、あらためて手に取ってジックリ隅から隅まで眼を通すような機会がなく、そのストーリーはおろかマンガの存在自体も記憶に薄いのですが、ぼせwebで紹介されててフと興味惹かれたので何となくamazonで1〜3巻まで一気買いしてしまいました。
 
良かったです!
ものすごく!
 
主人公であるゲイのイラストレーターの子が、高校時代から好きだったノンケの子とひょんなことから共同生活をはじめる。でも自分がゲイであることはもちろん、そのノンケくんへの想いを必死で隠しながら日々を暮らすが、次から次へとゲイの友達が遊びに来たりオネエでホゲたりしてドタバタヒヤヒヤしながら繰り広げられるゲイ群像劇。そして主人公の子もノンケくんへの思いが募りつつドキドキしつつも同時に切なく苦しい日々が続く。
1巻前半は多少、登場人物の描き分けがキワドい時もあり「あれ、これ誰だ」的な混乱も否めませんが、2巻〜3巻は登場人物それぞれのキャラクターもしっかり立ち、歯車が速度を増して回転しクライマックスを迎えます。ゲイであれば必ず一度や二度はドキドキするゲイバレの瞬間や修羅場にハラハラしつつ、次はどうなる?次はどうなる?と読む手を止める事ができないほど引込まれてしまいましたヨ。
テイストとしては『やっぱり猫が好き』+『ツルモク独身寮』+『すいか』+『君がいた夏』で、ほんで思わず読者の脳内BGMには常に槇原敬之が流れてしまうって感じかなー。主人公が住む家にガヤガヤとゲイの子が集まりビール飲みながらご飯食べて恋愛したり喧嘩したり相談し合ったり泣いたりふざけたり。その雑多感が、たまらなく心地良い。人と人の繋がりってイイナーと思わずにはいられませんでした。
それと同時に、まるでホームシックのような淋しくて切ない感情がこみ上げて止まりませんでした。仕事終わって一人の家(ネコはいるけど)に帰るのがイヤでイヤで泣けてしまうほど。どーしたんだろう、これは。 『ミルク』がキッカケであるのには違いない。
 
ちょうど二十歳の頃ORBにミセコとして働きだし、それも軌道に乗ったなーと実感しだしてた頃。ミセコやってたせいか常に同年代のゲイの友達が身の回りにいて互いに家を行き来して、一緒にご飯作って食べたりお酒飲んだり恋愛したり喧嘩したり悪口言って泣いたり歌ったり踊ったり。そんな自分の生活の一部が他人の生活の一部で、日常をみんなで共有してたような時期でした。まさにこの『ミルク』みたいな状況、自分にもあったなーと思い出しました。そんなみんなもだんだんと大学を卒業して地元に帰ったり就職して上京したりして、気付けばオレはみんなを送り出す立場で、自分の生活自体は何も変わってないつもりでした。でも、日常を共有してた人たちがいなくなれば必然的に自分の日常も変わってたわけで。そんな一対多数での賑やかで目まぐるしいような関係を築いてた二十代前半も過ぎ、ケンチャンと付き合うようなり一対多数から一対一への関係を築けるようになりました。エリクソンのライフサイクルを持ち出すわけではありませんが、自分が大人になった証拠だと思います。様々な人種との関係を作り自分自身に厚みと幅を持たせる時期から、その時期で得たものを大切な特定の少数の人に還元させてより濃密な関係を作る時期へ。そんな大切で自分がずっと守って行こうと思ったケンチャンとの関係。そのケンチャンが今は一時的であるとはいえ、遠い海の向こうにいるわけで。ホームシックの「ホーム」とは場所を指すだけのものにあらずと悟りました。 「ホーム」とは関係性に基づく観念的なもんで、オレにとっての「ホーム」とはケンチャンそのものだったんだなぁ、と。どうして自分の家に帰るのにホームシックみたいな感じに陥ってしまうんだと不思議でしたが、そこにケンチャンがいないんだからホームシックになってしまって当然なのだ。
ケンチャンが留学して半年、今までこんな感情になったことなんてなかったのに、この「ミルク」は見事にこの切ない気持ちをオレの心に沸き上がらせてしまった。それは「ひとつの作品」としてスゴイことだ。 いや、ホントに。 それだけこの「ミルク」って作品が「人が人と一緒に過ごすことの意味」「大好きな人を大切だと思う気持ち」等々、とっても人が行きて行く為に大切なものを含んでるんだと認めざるを得ませんでした。 すげーぞ、野原くろ!
世代的にマッキージェネレーション直撃世代としては、ぜひドラマ化してマッキー主題歌で。てゆーか、一時期のフジテレビで特定アーティストをフィーチャリングしたドラマを数本やってたけど、(『アンティーク〜西洋骨董洋菓子店』でミスチル、『天体観測』でバンプオブチキン、みたいな)それみたいにマッキーをフィーチャリングでこの『ミルク』のドラマ化は、伝説のゲイドラマ「同窓会」を上回る完成度が期待できそう。この企画、どこかのテレビ局さん、ぜひひとつ!
変にネタバレな事を書くのもイヤなので、
とにかく、買って読む事をオススメします。
下のamazonクリックから購入できますんで。
(一応ゲイコミックだから一般書店にはなかなかナイと思うよ)
これ読んだら絶対に世の中が変わって見える!
心がムズムズする!
今、大好きなひとに会いたくなる!
友達に連絡を取りたくなる!
料理が作りたくなる!
ビールが飲みたくなる!
 
そして、自分に正直に生きようと思う!

たまらずワガママ言ってケンチャンと臨時でビデオチャットしました。
 

ミルク (1) (爆男COMICS)

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2006.03.19.sun 小林聡美のオッパイ。

小学生の頃に観てボンヤリとした記憶しか無かったので、このたび観直してみました。大林宣彦監督、小林聡美尾美としのり主演の『転校生』。大林映画・尾道三部作の第一作。気持ち的にも無防備な状態で期待度のハードルも低めで気軽に見始めたせいか、非常に心の隙き間を微妙に突かれてしまい、切なさ最大限まで惹き付けられてしまいました。
幼なじみ同士の小林聡美尾美としのりが、階段から転げ落ちたのをキッカケに体が入れ替わってしまう、まあベタなプロットといえばベタなんだけど、でもそのプロットが単純だからこそ俳優の演技が活きるなー。(たしか後に、いしだ壱成観月ありさも同じのやってたね。アレはショボい。)
とくに小林聡美の爽快なまでの男っぷりには感嘆せずにはいれませんでした。まさか随所随所であそこまでオッパイ出してるとは思いませんでした。でもやっぱ映画全体の雰囲気がそうさせるんだろうけど全然エロくない。藤子不二雄の「エスパー魔美」で魔美がヌードモデルやってたり、「ドラえもん」でしずかちゃんが入浴してたりって、そんな感じに近い少女の無垢な部分が前面に押し出されてて性の対象には決してなり得ないヌード満載でした。もちろんゲイであるオレはオッパイが出てようが出てまいが、そんな次元での興味は皆無なわけで、それよりこの仕事をあの年齢の時に体当たりでこなした小林聡美の意気込みに脱帽なわけですよ。スカート捲し上げて尾道の坂を自転車でカッ飛ばす小林聡美の姿は、もうそれだけでこの映画が大成功の象徴のようなシーンでした。それでいて、ものすごく繊細で未完成な思春期の瑞々しさと、眩しいほどの夏の日射し。
そして何よりも尾道の風景の素晴らしさたるや、何たることか。多分この映画って20年ほど前のなんじゃないかと思うんだけど、今も変わらぬ尾道の町の質感。世界一短い航路を持つフェリーが浮かぶ瀬戸内海を中心に据えた眺望は奇跡に近いね、ホント。作品としてスモールタウンストーリーを撮るなら尾道以外に有り得ないなこりゃ、と思わざるを得ません。あの箱庭感と言ったら他になんと表現したらいいのか思い浮かびませんが、もう一度実際に尾道に行きたくなりました。  …それにしても、尾美としのりは途中から沖田浩之にしか見えなくなりました。

転校生 [DVD]

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2006.03.18.sat 夢占い。

仕事が忙しかったりして精神状態がヨロシクないと熟睡しててもロクな夢を見ませんね。先日見た夢。どうやらオレは高校生のようで校舎内をビクビクしながら歩いてる自分。同級生から集団で陰湿なイジメを受けてしまいます。黒板消しで頭や顔を叩かれたり、便器に顔を押し付けられたり。「やめてよ」と泣きながら訴えるもエスカレートするイジメ。もう、これだけでも非常にストレスフルな夢である事に間違いなく、レム睡眠ノンレム睡眠を漂いつつ精神衛生上よろしくないのですが、今度はオレが自分をイジメた相手に復讐をしようと一人ずつ夜道で後ろから襲い、「オマエの眼なんか二度と開かないようにしてやるよ」と、道に押し倒し羽交い締めにしその相手の眼にアロンアルファを垂らしていく。
夢の中での相手の悲鳴と、自分のそのあまりに異常な行動にビックリして目が醒めました。も〜、目覚めサイアク〜。普通に日常生活してても、生きた人間の眼に接着剤を入れるなんて発想絶対に出て来ないのに、夢っていう無意識の世界での自分がこんな行動を取るってことは潜在的にヤバイ部分があるんでしょうか?
と、ゆー夢をみて目覚めサイアクだったんだよーと職場で話してると、同僚の娘が、「あ〜分かる分かる〜。ストレス多い生活送ってると夢見が良くないよね〜」と同調してきました。「あたしもストレス多い時期は自分の歯が次々と抜けて、口の中が歯でいっぱいになる夢とか見てた〜」だってさ。そういえばオレも二十歳の頃にそんな歯が抜けて行く夢を何度か見たことがあるな〜と相づちを打ってると別の娘が、「アタシも手のひらの皮膚の中にスイカの種がビッシリ入ってて手を動かすとジャリジャリなる夢を見た事ある〜」と、笑いながら言ってましたが、それ気持ちワルッッッッ!
結局、アロンアルファよりも、歯よりも、スイカの種の夢がダントツだ、という結論に落ち着きました。(なんだそりゃ)
どんだけ精神的に病んでるんだって話。