supernova

患者さんと一緒にお墓参りへ。
汗びっしょりになりながら一緒に掃除をしてお花を供える。
ろうそくと線香に火を灯して手を合わせる。
自らの手で奪ってしまった命と、生き残った自分の命。
オレはただ彼に寄り添い一緒に手を合わせるしかできないけど、
一緒にお墓の前に立たせてもらえたことに感謝する。
お墓は穏やかな瀬戸内海を眺めるかのように、
さほど高くない山の斜面にあった。
「かあさんへ」との書き出しで始まる彼の手紙を聞きながら、
泣かないようにしてたけど、やっぱり泣いちゃったな。
 
帰りの車の中で彼が「この曲が聴きたい」と言いながら、
1枚のCDをカーステレオに入れた。
スピーカーから小さく控えめに流れるsupernovaを聴いて、
実はオレもういっかい泣いちゃったのは内緒の話。
 
 
 熱が出たりすると気付くんだ 僕には体があるってこと
 鼻が詰まったりすると解るんだ 今まで呼吸をしていた事
 君の存在だって 何度も確かめはするけど
 本当の大事さは 居なくなってから知るんだ
 
 延べられた手を拒んだその時に大きな地震が起こるかもしれない
 延べられた手を守ったその時に守りたかったのは自分かもしれない
 君の存在だって もうずっと抱きしめてきたけど
 本当に恐いから 離れられないだけなんだ
 ラララ
 
 人と話したりすると気付くんだ 伝えたい言葉がないって事
 適当に合わせたりすると解るんだ 伝えたい気持ちだらけって事
 君の存在だって こうして伝え続けるけど
 本当のありがとうは ありがとうじゃ足りないんだ
 ラララ
 
 僕らの時計の中 ひとつだけでもいいから
 本当を掴みたくて 本当を届けたくて
 
 歳を数えてみると気付くんだ 些細でも歴史を持っていた事
 それとほぼ同時に解るんだ それにも終わりが来るって事
 君の存在だって いつでも思い出せるけど
 本当に欲しいのは 思い出じゃない今なんだ
 
 君を忘れた後で思い出すんだ 君との歴史を持っていた事
 君を失くした後で見つけ出すんだ 君との出会いがあった事
 誰の存在だって 世界では取るに足らないけど
 誰かの世界は それがあって 造られる
 君の存在だって 何度も確かめはするけど
 本当の存在は 居なくなっても ここに居る
 
 僕らの時計は 止まらないで 動くんだ
 ラララ