dogs

小沢健二が活動再開との報告。
しかも全国12カ所のライブも敢行するとのこと。
《→ http://hihumiyo.net/
 
めっちゃ嬉しい。ライブも行きたい。
でも何だか行きたくないような気もする。
 
オレの携帯アドレス知ってる人は、そのアドレスからオレが小沢健二好きだっての分かると思うし、このブログ自体が以前のタイトルがそのまま「犬は吠えるがキャラバンは進む」であり、その後に改名して「dogs」になっているあたりからも、どんだけ小沢健二への思い入れが強いか推測に易いと思う。
好きとかって云っても、イケるって意味ぢゃねーよ。
むしろ、コイツが居たから今のオレが居る、的な。
天使たちのシーン」があったから今オレ生きてる、的な。
 
本当にスネた子どもだったわけですよ、オレ。「世の中、敵ばかりじゃないけど、味方は居ない」と思いながら過ごしていた思春期。パーフリ解散後の小沢健二から届けられた「犬は吠えるがキャラバンは進む」は、オレにとっての唯一の味方でした。「塩を舐め渇きだけを癒せ」と歌う「昨日と今日」から始まるこの「犬は吠えるがキャラバンは進む」は、2枚目「LIFE」のようなハッピー感は皆無で、湿り気や、やや暗い影を帯びたアルバムだったけど、当時のオレの薄曇りのような気持ちとシンクロしてしまい、何度も何度も擦り切れるほど聴きました。その収録曲の中で、あまりにも大切すぎて逆に余程の事が無いと聴けない曲があったのですが、それが「天使たちのシーン」です。10分を越えるこの長い長い曲は、もうオレの人生の中でこれ以上に大切な曲は出て来ないんじゃないかと今でも思ってるほど。しかもドラムは故・青木氏。長い長い曲の最後で歌われる「生きることをあきらめてしまわぬように にぎやかな場所でかかりつづける音楽に僕はずっと耳を傾けている」という言葉に、何度救われたことか。何年経っても、この曲の最後になると自然と涙が出てしまう。
ちなみに、大槻ケンヂがこの曲をカバーしてたけど、彼も曲の最後は嗚咽に近い感情に任せた咆哮になっている。名カバーです。
 
だからこそ、今回の活動再開は嬉しいし、ライブにも行きたいと思う反面、何だか行きたくないような気もするのである。思い入れが強すぎるがゆえに、一時期ブームのように小沢健二が「オザケン」と呼ばれ、当時の一過性ファンがブギーバックだのドアノックだののノリを期待して集うであろうライブ会場に、自分の身を置く事ができないような気がする。オレにとっての小沢健二はそんなモンじゃないっつーか。まだ誰も起きてない早朝4時の街角で、今にも海に太陽が沈まんとする夕暮れの浜辺で、一日の仕事を終えて歩く脱力した帰り道で、そんな瞬間に一人で(或いは大切な誰かと)聴きたいのが、小沢健二の「音」や「言葉」。大切すぎて、有耶無耶な大勢の中では聴きたくないっつーか。
 
だから、今回の活動再開は嬉しいし、ライブにも行きたいと思う反面、何だか行きたくないような気もするのである。
思い入れっつーのは、時として頑固でややこしいなぁ。
 
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海岸を歩く人たちが砂に 遠く長く足跡をつけてゆく
過ぎて行く夏を洗い流す雨が 降るまでの短すぎる瞬間
 
真珠色の雲が散らばってる空に 誰か放した風船が飛んでゆくよ
駅に立つ僕や人混みの中何人か 見上げては行方を気にしている
 
いつか誰もが花を愛し歌を歌い 返事じゃない言葉を喋りだすのなら
何千回ものなだらかに過ぎた季節が 僕にとてもいとおしく思えてくる
 
愛すべき生まれて 育ってくサークル
君や僕をつないでる穏やかな 止まらない法則
 
大きな音で降り出した夕立ちの中で 子供たちが約束を交わしてる
 
金色の穂をつけた枯れゆく草が 風の中で吹き飛ばされるのを待ってる
真夜中に流れるラジオからのスティーリー・ダン 遠い町の物語話してる
 
枯れ落ちた木の間に空がひらけ 遠く近く星が幾つでも見えるよ
宛てもない手紙書き続けてる彼女を 守るように僕はこっそり祈る
 
愛すべき生まれて 育ってくサークル
君や僕をつないでる緩やかな 止まらない法則
 
冷たい夜を過ごす 暖かな火をともそう
暗い道を歩く明るい光をつけよう
 
毎日のささやかな思いを重ね 本当の言葉をつむいでる僕は
生命の熱をまっすぐに放つように 雪を払いはね上がる枝を見る
 
太陽が次第に近づいて来てる 横向いて喋りまくる僕たちとか
甲高い声で笑いはじめる彼女の ネッカチーフの鮮やかな朱い色
 
愛すべき 生まれて 育ってくサークル
気まぐれにその大きな手で触れるよ
長い夜をつらぬき 回ってくサークル
君や僕をつないでる緩やかな 止まらない法則
 
涙流さぬまま 寒い冬を過ごそう
凍えないようにして 本当の扉を開けよう
 
月は今 明けてゆく空に消える
君や僕をつないでる緩やかな 止まらない法則
ずっと
 
神様を信じる強さを僕に
 
生きることをあきらめてしまわぬように
 
にぎやかな場所でかかりつづける音楽に
僕はずっと耳を傾けている
 

(中間部がカットされショートバージョンになってます)