suicide

引き続き週末休日もお仕事の日々。先日購入した本たちですが、平日週末を問わず相変わらずの移動時間に拘束され続ける勤務状態の中、新幹線や飛行機で意外とサクサク読み進めています。本来、自分が「映像人間」ではなく「活字人間」だったことを体が思い出します。ホラー描写にしても映像で見せられるとその範囲でしか恐怖感は伝わりませんが、活字で読むと自分の脳内でどんどんイメージが膨らむので、こえーこえー。自分の想像力に我ながらゾッとします。オレって単なる活字からこんなにもエグい映像を脳内再生できるのねと驚く。とりあえず2冊読了。上下巻。第31回メフィスト賞受賞作。
『冷たい校舎の時は止まる(上・下巻)
雪の降るある日、いつも通りに登校したはずの学校に閉じ込められた8人の高校生。開かない扉、無人の教室、5時53分で止まった時計。凍りつく校舎の中、2ヵ月前の学園祭の最中に自殺した同級生のことを思い出す。しかし誰もがその顔と名前をどうしても思い出す事ができない。そしてチャイムが鳴るたびに一人また一人と消えて行く仲間たち。』
いやぁ、惜しい! とにかく惜しい!
このプロットは好きです。Agatha Christieの『そして誰もいなくなった』的アプローチ。次は誰が消えるのかと、常に緊張感を持ちつつ読めます。ノスタルジックでセンシティブでグロテスク。現在と過去を交錯しながら描き、登場人物たちの内面を吐露させるジュブナイルストーリーでもあります。非常に好きなテイストです。が、いかんせんこのラストの尻すぼみ感は如何なものか。これだけテンションを上げて読者を引き込んだのに、この帳尻合わせの下手さは何とも惜しい。叙述ミステリーにするなら、もっとうまく伏線を張らなきゃ、納得できーん。しかも長い。文庫上下巻で約600頁。この手のミステリーでこの頁数の多さは正直いただけない。インパクトのあるものはコンパクトに。鉄則でしょう。そして、登場人物の一人と作者の名前が同じだと云うのも、どうかと。その登場人物がストーリーテラーと云う訳でもなく、とくにトリックの一端を担う重要な要素であると云う訳でもないこの名前の一致は寧ろ読後の後味を悪くさせる一因。 とは云え、珍しいタイプの作品ではあるので、ミステリー好きの方は是非、ご一読を。そして感想でも語り合いませう。
余談。はじめて飛行機に乗った時は離着陸の際、めちゃめちゃ緊張したもんだけど、さすがに月1ペースくらいで乗ってると離着陸の衝撃にも負けず爆睡or離着陸の衝撃にも気付かず本読みができるようになるのですね。ニンゲン、慣れるってスゴイもんだなぁ。

冷たい校舎の時は止まる(上) (講談社文庫)

冷たい校舎の時は止まる(上) (講談社文庫)

冷たい校舎の時は止まる(下) (講談社文庫)

冷たい校舎の時は止まる(下) (講談社文庫)