kyoto

ケンチャンと京都音博に参戦してました。いやー、スゴかった。てかめっちゃ良かった。開場待ちの機関車博物館で毛虫に手のひらを刺されたりして若干凹みましたが、そんなもん差し引いてもお釣り来るくらい良かった。心配してた雨も結局降らんかったしねー。普段イイコにしてるからだな、こりゃ。普段のモッシュモッシュしてるフェスと違って、市街地内で開催するから爆音系ナシの、まったり系フェス。芝生に座ってポヤポヤしながら参加できてオキラクで楽しい。フード屋台の多様さもスゲーな。旨そうなもんがいっぱい。
京都音楽博覧会http://www.kyotoonpaku.net/
 
矢野顕子。ピアノ1台のみのセット。登場して一声歌い出した途端に涙が出た。止まらんかった。実は今回オレ人生初のナマ矢野顕子。自分でも自分の気持ちに気づいてなかったみたいなんだけど、オレってこんなにも矢野顕子に逢いたかったんだって初めて分かった。矢野の声の力と、これまでの思い入れが重なってずっと泣いてた。7曲も演ってくれた。Children in the summer〜Evacuation plan〜Baby, I love you〜さようなら〜ごはんができたよ〜Rose Garden〜ひとつだけ。中盤〜ラストの曲順はスゴすぎる。人生初ナマ矢野顕子でこの展開はズルい。涙と震えが止まらんかったよ、マジで。生きてて良かった。てか、ずっと曇り空だったんだけど、矢野顕子が登場した時だけ晴れた。やっぱり音楽が愛した女。
 
こーゆーフェス会場でtwitterにアクセスするのは半端なくオモロいですね。京都音博はステージが1つしかないからセットチェンジの間に次のアーティストへの呟きや、演奏終了したアーティストへの感想呟きが次々とポストされてて、妙な一体感が出る。
特に石川さゆりに関するポストはスゴかった。
今回何故か出演アーティストに名を連ねた石川さゆり。出演順も民生とくるりに挟まれ、客的には完全に休憩的ポジションだと誰もが思った。前評判からでも野外ロックフェスに何故演歌歌手が?!と疑問の声も多く、石川さゆり登場前のtwitterポストは想像通り散々たるもの。一部抜粋して転載。「いまから石川さゆり。なぜ京都音博に…」「次はなんと、石川さゆり。人がさささっとひいた。奥田民生の次はきつそう。」「あったら怖い。。。石川さゆりモッシュ&ダイブ。(笑)」「次は石川さゆり!電池切れそう。」「異色のさゆりさん」「ちょいちょい見かけるご年配の方はやはりさゆりさんファンかしら」「石川さゆり?何のライブかわからなくなったww」等々。茶化しメインなポストが目立つ。ロックフェスに演歌歌手投入、しかも石川さゆり自体が未知数でステージの展開が予測できないという観客の動揺の現れでもあるか。
しかし、これが次第にステージに組み上がっていくセットを見るにつけ会場がザワつく。住宅地に近い町中で音量制限のあるフェスのため他出演者も弾き語りなどが主なんだけど、どうみてもフルバンド揃えているような様子のセッティング。「さゆりは何かをしでかしてくれるかもしれない」という会場のザワザワ感が堪らない。
そんな会場の雰囲気がまんじりと高まってきたのに合わせてフルバンドの大音量演奏「津軽海峡冬景色」で石川さゆり登場。会場、地響きのような歓声とともに総立ち。オレも思わず両手挙げて「うおー!」と叫んでしまいましたよ。尋常じゃない会場のテンションが一気に沸点に達した感じ。さゆりの一挙手一投足に半端ない観客のレスポンス。なんだこりゃー。めっちゃ楽しい!!これまでの出演者にはない会場の一体感。さゆりも煽るもんだから観客も叫ぶ叫ぶ。ソーラン節をモチーフにした曲では、会場完全にタテノリ。みんな両手挙がっとる。本気でモッシュ起こるんじゃないかと思った。ステージ上部に設置された巨大スクリーンに映し出されるさゆりの絶唱アクメ顔にも観客は全力のレスポンス。さゆりが顔をキメるたびに割れんばかりの歓声とハンズアップ。MCでは「たまには演歌もいいでしょう」とニヤリ一言。鉄板の津軽海峡天城越えで会場をピークに誘導し、ラストはヒンヤリとした夕風の中バラードで締めくくるステージ構成の巧みさ。これは事件だ、最早。伝説誕生の瞬間に立ち会ってる気分。エポックメイキング。
そんな石川さゆり終了後のtwitterポストは、先程までと打って変わって絶賛喝采の嵐。一部抜粋して転載。「今日は携帯を家に忘れたんでいろいろ苦労したが、石川さゆりにめっちゃ感動してすべてがチャラになった。」「石川さゆりが相当持ってったかんじです。」「さゆりはスターだった限りなく!」「今日のまとめ 石川さゆり最強説」「今日の京都音博は石川さゆりのためにあったといっても過言ではないな。」「日本のりずむあんどぶるーす女性シンガーは、石川さゆりのライブを見るところから始めるように」「矢野顕子も民生もくるりもすごく良かったが、石川さゆりがぶっちぎりMVP」「ベストアクトは言わずもがな石川さゆり。」「本日のベストアクトは文句なしに石川さゆり。歌がうまいとかいうレベルをはるかに超えていた。」「なんだかんだで一番盛り上がったのは石川さゆりだった。演歌歌手になりたい」「くるりが何やろうが石川さゆりがベストアクトだと思う、完全アウェイであれだけ客を満足させられるってただただ凄い!!」「津軽海峡の破壊力は凄まじい」「さゆりベストアクトかもしれん!くらいの一体感。」「津軽海峡冬景色のアンセム度ハンパなかった!」「石川さゆり半端ない。あまりにもロックすぎるステージに言葉を失う。」「石川さゆりさんのライブがすごすぎてもうどうしたらいいかわからん。」「本日初の縦ノリは石川さゆりだったという、驚愕の事実。」「石川さゆり、野外フェスなのに、フルスペックの演歌を聞かせてくれて、女気を感じた。」「野外フェスでも演歌で会場を盛り上げまくるとか、石川さゆり怖るべし。」「石川さゆりマジですごい。震えた。」「京都音楽博覧会おわって、石川さゆりさんの映像を観まくる。止まらない。」「ラジオから、今日の音博の石川さゆりさんの凄さについての話題が!」「さゆり様ががまぶしすぎて記憶が蹂躙されかけてる」等々。twitter登録してる人は今日中に「さゆり」で検索かけてみるべし。事の一大さが分かる。
いやー、ほんとスゲーよ、さゆり。コレは一大事だと思うよ。主催者の一時の気の迷いでオファーされたとしか思えない演歌歌手が逆にロックフェスを揺らした。しかも、その場に居た観客誰もが本日のベストアクトは石川さゆりだと思った事実。アウェーのロックフェス参加だからと云って変に奇をてらったり日和ったりせず、コテコテの演歌路線一本で演り切った石川さゆりの真摯な姿勢もアッパレ。その石川さゆりの心意気に応えて彼女のステージを盛り上げた今日の客の質も最高に良いと思う。石川さゆり京都音博事変。歴史が変わったよ。
矢野顕子で泣いて、奥田民生で笑って、石川さゆりで暴れる。最初は「このメンツでこのチケット単価は高ぇなぁ」なんて思ってましたが、そんな気持ち吹っ飛びました。ホント来て良かった。暮れ行く夏の日射しにちょっぴり日焼けして火照った肌と、昂った気持ち。石川さゆりが本日のアクト最終曲として歌った「朝花」をiTunesで購入し、その涼しげな音色に耳を傾けていると、ふと手のひらの小さな痛みに気づく。そういえば毛虫に刺されてたんだっけ。すっかり忘れてた。

燃え盛るさゆり。会場を揺らす。